飯塚高校サッカー部では、多くのスポンサー様からご支援をいただいており、選手とスポンサー様との交流を深めることを目的に、両者による対談や座談会を順次実施していくこととなりました。
今回はスポンサーの1社である「MERICAN BARBERSHOP」から、クリエイティブディレクターのヌマタユウトさんをお招きしました。
サッカー部を代表して登場したのは、「MERICAN BARBERSHOP」との出会いをきっかけに髪を切ることに興味を持ち、今ではチームメンバーのヘアカットをするようになった深見葉風と、深見に髪を切ってもらっている鮫島遼介です。
後編では「身だしなみ」や「髪を整えることでどのように気持ちが変化するのか」といったテーマで語り合い、髪を切ることの意味を改めて見つめ直す時間となりました。
(前編)特別対談:「今この瞬間を味わい尽くしてほしい」深見葉風×MERICAN BARBERSHOP・ヌマタユウトはこちらから
高校生も大人も同じ。髪型ひとつで日常も人間関係もより良く変わる
ヌマタ:鮫島くんはMERICAN BARBERSHOPが飯塚高校のサポートを始めてから、身だしなみに対する意識は変わりましたか?
鮫島:髪を切ってもらうことで髪型が整うとモチベーションも上がるし、気分も良くなるなあと。そこから日常的に髪をセットしたり、身だしなみを意識したりするようになりました。
ヌマタ:普段はどんな感じで整えてるんですか?
鮫島:試合のある日も普段の日常でも、髪をセットしてます。ただ、一回やりすぎて先生に注意されたこともありました(笑)。
ヌマタ:高校だから制限がありますよね(笑)。深見くんは?
深見:髪を整えると爽やかな見た目になって気分が上がるし、周りからの印象も良くなって、整えることってやっぱり大事だなと思います。自信も持てるようになりました。
ヌマタ:僕の店にも、最初は身だしなみに無頓着だったお客様が来ることがあるんですが、整えると意識が変わる人が多いんですよ。たとえば、前に3ヶ月に1回くらいのペースで来店するお客様がいました。
伸ばしっぱなしになった髪をバッサリ切って、また伸ばして……の繰り返しでしたが、うちはカットから2週間以内に限り、刈り上げ部分のみメンテナンスができるんですね。そのメニューを一度体験したあとは、スッキリしているのがいいと思ってもらったみたいで、そこから月1回来店いただけるようになりました。
深見:自分が気に入った髪型を保つのっていい気分! って気づいたんでしょうね。
ヌマタ:だと思います。そういう人たちって、髪型だけじゃなくて、服装にも気を遣うようになるんですよね。で、褒められることが増えていく。
「どこで切ったの? って聞かれた」「奥さんに褒められた」「今までで一番いい髪型って言われた」など、僕らもうれしくなるエピソードをたくさん話してくれます。年齢とか性別に関係なく、褒められる経験は人を変える力があるんだなって感じますね。
「ヘアカットを福利厚生に」そんな企業が出てきたらかっこいい
鮫島:身だしなみを整えることで、その人自身を変えるだけでなく、周りにもいい影響を与えているなと感じることがあります。たとえば、髪型を変えたときに「その髪型、かっこいいね」って言われることがあります。
それがきっかけで、周りの友達も「自分もその髪型にしてみようかな」とか、「ワックスって何使ってるの?」とか聞かれたりして、興味を持ってもらうことが増えました。髪型をきっかけに自然と会話が生まれるのはいいなあと思います。
深見:友達がマレットヘア(前髪は短く、サイドは刈り上げて、襟足だけ長めに伸ばしたスタイル)にしているのを見て、かっこいいなと思って、自分も同じ髪型にしました。カットしてくれたのもその子です(ヘアスタイルを見せる)。
ヌマタ:身だしなみを通じて、ポジティブな展開が生まれるのっていいですね。社会人の中でも、たとえば不動産事業者やスポーツ選手などで「髪を切ってないまま商談に行ったらうまくいかなかったけど、きれいに整えて行ったら結果が良かった」みたいなゲン担ぎをされている方、結構多いんですよ。
営業職の人なんかも全般的にそうで、髪が整っているとやっぱり人からの印象が全然違ってくると思うんです。だから将来的には、企業単位で「従業員の髪を整える福利厚生(※)」を導入するところが増えたらいいなと思ってます。
たとえば、「うちはスタッフのヘアカットに会社として投資しています。スタッフ皆が自分らしさを表現しながら、清潔感のあるスタイルを楽しんでいます」って言える企業って、めちゃくちゃかっこよくない?
「うちも飯塚高校サッカー部みたいに、ヘアカットやりたいです」と問い合わせてくる企業様がいたら、喜んでサポートしたいと思ってる。Jリーグのクラブと契約して選手のヘアを担当すること。それが今の目標のひとつです。
※給与や賞与といった基本的な労働対価に加え、従業員やその家族に提供する制度・サービスのこと
鮫島:確かに、Jリーグ選手って人から見られる仕事ですし、営業も人と会う仕事なので、人から見られる点では同じですよね。
深見:どんな仕事でも人と接するので、髪型が整ってる人の方が印象は良くなりますよね。
ヌマタ:そうそう。服を買いにいくときってありますよね。店頭に立っているスタッフさんをイメージしてほしい。顔立ちやスタイル云々ではなくて、「自分に時間をかけている」ことが伝わる人は、自信を醸し出しているし、いいムードも感じさせる。だから、そういう人の方が売上にもつながると思うし、全体の印象も良くなると思うんです。
自分に時間を使う人が増えれば、社会に良い変化が生まれていく
鮫島:自分もケアをしているからこそ、分かるような気がします。
ヌマタ:高校生のうちから自分に時間をかけて、それにより気分が上がる経験をしていたら、大人になってもそれを続けるんじゃないかな。
まだまだ伝えたいことがいろいろあるけど、そろそろ時間なのでまとめに入りますね。今日一番伝えたいのは「見た目を気にすることは、単に外見を変えることではない」ということ。
見た目を整えるって、自分のために時間を使うという“習慣”を持つことなんです。それが、自分に余裕をもたらして、最終的には他人にまで目を向けられるような人間性につながると思ってます。自分が身だしなみに気を遣っているからこそ、他人の変化にも気づけて、褒め言葉が自然と出てくることもあるでしょう。そうやって、幸せが広がっていく。
髪をかっこよくカットするとか、スタイリングするとかっていうのは、あくまでもきっかけでしかなくて。
だから、たとえば「流行りの髪型は禁止」とか、ルールに縛られているような場所では、この活動の本質はなかなか伝わりにくい。でも本当は、見た目を整えることって、社会全体を少しずつ変えていく力があると思ってます。
たとえば、朝セットするために早く起きるようになる。それだけで、今まで寝ていた時間に新しい何かが生まれるかもしれない。そういう小さな変化の積み重ねが、その人の生き方や可能性を大きく広げていく。
だから僕は、「自分をかっこよくする時間」って、見た目の話だけじゃなくて、もっと深くて、もっと前向きな、人生をつくる行動だっていうことを伝えたい。今日の感想があればひとりずつ教えてください。
鮫島:今日は、ただ髪を切るっていうことだけじゃなくて、ヌマタさんたちがどういう思いでこの活動をしているのかとか、髪を整えることが人生にどうつながるのかっていう話まで聞くことができました。自分もサッカーを頑張りながら、今日聞いた話をこれからの人生に生かしていきたいです。今日はありがとうございました!
深見:自分にもっと時間を使おうと思いました。ヌマタさんが言っていた「朝早く起きることで何かが生まれる」っていう話、あれがすごく心に残っていて。
成功してる人たちって、よく「早起きしてる」って言われてますし。実際に、早起きしてふっと頭に何かが浮かぶっていうのはあるらしいし、自分も早起きを意識してみようと思いました。ありがとうございました!
特別対談:「今この瞬間を味わい尽くしてほしい」深見葉風×MERICAN BARBERSHOP・ヌマタユウトはこちらから
企画・構成/池田園子