飯塚高校サッカー部では、多くのスポンサー様からご支援をいただいており、選手とスポンサー様との交流を深めることを目的に、両者による対談や座談会を順次実施していくこととなりました。
今回はスポンサーの1社である「株式会社理想実業」から、コーポレート・ブランディング部 広報 大林大輔さんをお招きしました。
理想実業は、奈良県大和高田市を拠点とするディアブロッサ高田FCを長年支援し、地域の青少年育成やスポーツ振興、地域活性化に貢献しています。
その関係から、ディアブロッサ高田FC出身で、現在飯塚高校サッカー部に所属する牧野蒼生(3年、GK)と谷口史蕾(1年、CB)のふたりが今回の座談会に参加し、スポーツと企業活動の連携や地域活性化を主なテーマとして語り合いました。
ディアブロッサ高田FCからのご縁
大林さん:今日は練習終わりのお疲れの中、ありがとうございます。おふたりと話すのは初めてなので、改めて理想実業という会社の想いについてお伝えさせてください。私たちは2024年シーズンから飯塚高校サッカー部をサポートさせていただいています。
会社として、どうとんぼり神座のラーメンを通じて、小さなお子さんから高校生、大学生まで、特に子どもたちの成長を応援したいという考えがあります。大阪に本社を構える会社として、関西出身の子たちが全国で活躍している姿を見ていると、やっぱり応援したくなりますし、彼らの中には「子どもの頃、親に連れられてどうとんぼり神座のラーメンを食べた」という思い出を話してくれる子もいるんです。そういう話を聞くと、心からうれしい気持ちになりますし、がんばっているみんなを支援したい、という思いが自然と湧いてきます。

牧野:今日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。僕たちも順に自己紹介をさせていただきます。GKをしています、牧野蒼生と申します。僕は小学生のときからディアブロッサ高田FCに所属し、どうとんぼり神座のラーメンをよく食べていました。
スポンサードいただいていた関係でプレゼントをいただくこともあり、家族でもラーメンをいただいて、本当においしい……といつも幸せな気持ちになっていました。ご支援いただく物品やサービスの一つひとつが、チームの一人ひとりにとって助けになっていました。
そんなご縁があったので、中学を卒業して飯塚高校に入ったあとも、理想実業さんがスポンサーになってくださったご縁が、本当にうれしかったです。
大林さん:こちらこそ、継続的な関わりがあってうれしいです。ちなみに、牧野さんには憧れのプロ選手はいますか?
牧野:はい、バイエルンに所属するマヌエル・ノイアー選手を挙げたいです。守備範囲が非常に広くて、ゴールキーパーとしてのポジショニングや動き方が参考になります。
大林さん:ノイアー選手のプレーを見ながら、ご自身のプレーにどう生かしているんですか?
牧野:試合を見ながら「自分だったらどう動くか」「どうしたらもっと守備範囲を広げられるか」を考えています。自分との違いを探したり、ポジショニングの取り方を研究したりして、引き出しを増やそうともしています。それがすごく成長につながってると思います。
大林さん:ありがとうございます。谷口さんも憧れのプロ選手を含め、ご自身のことを教えてください。

谷口:CBをしています、谷口史蕾と申します。僕が憧れているのは、町田ゼルビアに所属する菊池流帆選手です。同じCBで、めちゃくちゃファイターなところがかっこいいなって思っています。菊池選手のプレーを見て、自分も「怖がらずにガンガン行こう」「がむしゃらに守ろう」と奮い立たせられています。
中学の頃からどうとんぼり神座のラーメンを家族4人でよく食べていました。メニューの種類が豊富で、いろいろと楽しめて、毎回「おいしい」という感想しかなかったです。
僕は中学からディアブロッサ高田FCに入り、理想実業さんというスポンサーに支えられて、サッカーができる環境がどんどん良くなっているなあと感じてきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。このたびはお話しの機会をありがとうございます。
理想実業が子ども食堂に力を入れる理由

大林さん:子どもたちの成長を応援したい、という文脈で、私たちの活動をもうひとつ紹介させてください。「SDGs」という言葉は牧野さん、谷口さんも授業やニュースなどで聞いたことがあると思います。企業としてのSDGs活動の一環として、特に力を入れているのが子ども食堂です。
もちろん会社という営利組織ですから、売上や利益を出していくことは重要ですが、「子どもたちの貧困をなくしたい」「子どもたちが笑顔でお腹いっぱいラーメンを食べられる世の中をつくりたい」という思いをベースに営業しています。
そんな思いから、子ども食堂により力を入れていこうと考えていて、徐々に仲間も増えてきて、活動を少しずつ広げているところです。現状は店舗のある関西と関東、具体的には大阪と東京を中心に、だいたい3カ月に1回のペースで、会社の幹部や店舗のスタッフも一緒になって、ラーメンを無償で提供しています。今後は毎月のように東京・大阪で開催していきたいと思っています。
牧野:どうとんぼり神座というお店を広く展開しているからこそ、できるサポートですね。子ども食堂には毎回何人くらいの子どもたちが来るんですか?
大林さん:だいたい30〜40人くらいの子どもたちとお母さんたちが来てくれます。今後は関西・関東以外でも店舗が増えていく予定です。それらの地域でも子ども食堂を開催したくて、子どもたちがラーメンをお腹いっぱい食べて笑顔になれる地域を増やしていけたらと考えています。

谷口:子ども食堂、聞いたことあります。お金にあまり余裕がない家庭で、ラーメンを食べに行きたくてもなかなか行けない子たちもいると思います。子ども食堂に行って初めてどうとんぼり神座のラーメンを食べておいしくて感動した! みたいな子もいそうですね。
大林さん:そうですね。昨今のラーメンの金額は、リーズナブルなものでも、だいたい1杯あたり800円弱くらいするんですよね。地域によって多少の差はありますが。たとえば、4人家族で行ったら4,000円近くはかかります。そう考えると、決して安くはない金額だと思うんです。
僕もそうでしたが、子どもたちにとって外食は一大イベントなんですよね。両親と一緒にラーメンを食べに行く、となると楽しみでなりませんでした。でも、そんな特別なイベントとは縁遠い子たちもいます。
だからこそ、どうとんぼり神座が主催する子ども食堂が、家族で思い出をつくるきっかけになってほしいし、僕たちとしても、そんな子どもたちにおいしいラーメンを届けて笑顔になってもらえたらいいなと思っています。
牧野:みんながうれしくなる取り組みですね。僕も奈良に住んでいた中学時代、遠征後に家族みんなでどうとんぼり神座に寄ってラーメンを食べて帰ったのは、今でも懐かしい思い出として記憶に残っています。連れて行ってもらえるのがうれしかった。一番オーソドックスなおいしいラーメンを好んで毎回食べていました。
チーム、地域、企業が「おいしい」でつながっていく世界

大林さん:ディアブロッサ高田FC時代の、どうとんぼり神座との思い出を話していただいてうれしいです。その後、故郷(奈良)を離れて飯塚に来て、どんなことを感じながら過ごしてきたのか伺いたいです。
牧野:親に頼らず、自分でいろんなことをするようになり、親のありがたみを強く感じるようになりましたね。親とは年に2〜3回しか会えないので、会えるときはその時間を大事に過ごしています。
入学と同時に寮に入って、仲間との共同生活を2年ちょっとしてきたことも、自分にとって大きな学びです。勉強とサッカーの両立も必要ですし、楽しいことも難しいことも同じくらいたくさんありますが、すべてがいい経験になってます。
大林さん:谷口さんはいかがですか?
谷口:寮生活をさせてもらっている点で、親への感謝の気持ちがあります。24時間ずっと仲間と一緒にいるから、コミュニケーション能力が上がったなと感じています。最初の頃はなかなか馴染めなかったんですけど、1〜2ヶ月経つうちにみんなと仲良くなり、環境にだいぶ慣れてきました。
大林さん:寮生活で学ぶことは多そうですね。今年は3学年で約190人ものサッカー部員がいるとも聞き、そうなると多様な先輩後輩仲間がいると思います。先輩の話をすると、2024年4月に当社に入社した船戸颯真さん(10期生、2023年3月卒)がいます。同年6月の飯塚高校体育祭で出店を行い、ラーメンを提供しました(※)。そのときも船戸さんがメンバーのひとりとして、飯塚高校に出向きました。
船戸さんは現在、大阪・関西万博のお店を任されていて、アメリカやフランスの方々、芸能関係者など、世界各地から訪れるお客様にラーメンをつくっています。メディアのインタビューにも応じていて、グローバルな環境で活躍しています。そばで見ているとそのがんばりで勇気づけてくれる仲間です。
※どうとんぼり神座は関東・関西に多数出店していますが、九州エリアにはお店がありません。そのため、飯塚高校での出店が九州エリアで初となる出店となりました。
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牧野:スポンサーさんがついてくださることって、卒業後に就職を考える選手にとっては、進路の選択肢のひとつになるんだなと思いました。僕はタイミングが合わなくて、そのとき船戸先輩とは会えなかったんですけど、サッカー部のインスタで選手たちがラーメンを食べているのは見てました!
僕たちのホームで出店いただいたことに関連してご質問させてください。大林さんがこういう活動を通じて、スポーツと企業活動をつなげるときに大切にしていることは何ですか?
大林さん:広報担当者の立場からお答えすると、サッカーチームであればその地域を代表するスポーツチームですし、企業も地域を一緒に盛り上げていく仲間だと考えています。だから、私たちも一緒に何かできないかと考えて、スポーツを通じて地域を元気にしたいと思っています。それが前提ですね。
そして、選手の皆さんが今よりさらに活躍できるように、少しでも下支えできるような形でサポートするのが私たちの役目です。ただ、日本ではこういう活動はまだ多くないので、広報担当として、船戸さんのような若手にも協力してもらいながら、理想実業でしていることをメディアにも発信していきたいです。そうやって、地域を盛り上げる活動をより多くのエリアで広げていけたらいいなと思ってます。
谷口:そんなふうに思ってくださって、本当にありがたいです。そこへの恩返しになっているかは分からないんですけど、僕たちはどうとんぼり神座がずっと身近にあって、ラーメンは純粋においしいし、唐揚げや餃子のようなサイドメニューもおいしいしということで、友達に「神座おいしいよ」と推したことがあります。
大林さん:そうやって「おいしいラーメンがあるよ」と自然な形で広めてくれるほど、うれしいことはありません。おいしいものって、誰かにおすすめしたくなりますよね。だから、ラーメンを通じて「おいしいね!」とみんなで盛り上がって、どんどん熱が高まっていく、そんな雰囲気をこれからも一緒につくれたら理想です。
これからも一緒に地域を盛り上げていきたい
牧野:飯塚高校サッカー部全体としてご用意していた質問を、最後にひとつさせてください。企業とチームが良い関係でいるためには、どんなことが大切だと思いますか?
大林さん:応援する気持ちと、それを形にする金銭的なサポートはともに大切です。スポーツチームが活動を続けるには、当然お金が必要になります。
その上で、地域を一緒に盛り上げることも大切で、選手たちがもっと活躍できるように、企業として単にお金を出すだけではなく、イベントなどを通じて交流を深めることも欠かせないと思っています。そうすることで新たな取り組みに関するアイデアも出てきやすくなりますし、より良い関係が築けるのではないかと。
理想実業はラーメン屋さんなので、出店することで保護者や地域の方々も巻き込みやすい業種です。そういったリアルの場を通して、学校や保護者、地域の方々ともつながりをつくっていけたらいいなと思ってます。今日はさまざまなお話をさせていただき、ありがとうございました!
牧野・谷口:こちらこそ、ありがとうございました!
企画・構成/池田園子